コレステロール値は結局、高いのと低いの、どっちがいいの!?

「揚げ物や脂っこい物、タラコやイクラ、バターや生クリームが大好き」という人はいませんか?そういう人は健康診断で「コレステロール値が高い」と指摘されたことがあるかもしれませんね。
コレステロール値が高いと、血液がドロドロになって流れにくくなり、動脈硬化から狭心症や心筋梗塞を引き起こすおそれがあります。
その一方で、「コレステロール値は高いほうが長生きできる」という専門家の指摘が話題になったことがありました。
一体、コレステロール値は高いのと低いのを比較して、どちらが良いのでしょうか?今回は、コレステロール値が高いと指摘された人を対象に、中高年がコレステロールと向き合うコツについてご紹介します。

コレステロール値は結局、高いのと低いの、どっちがいいの!?

コレステロールは本当に悪者?

そもそも「コレステロール」とは何でしょうか?知っているようで意外と知らないコレステロールの基礎知識をお伝えします。

コレステロールの正体

中年を過ぎると健康診断で医師から「コレステロールの値が高いので、食生活に注意して運動をしてください」と言われる人が多くなります。コレステロール値が高いこと自体は病気ではありません。医師が注意を促すのはコレステロール値が異常に高い状態を放置すると、動脈硬化を起こし、最悪の場合、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞など重い病気の原因となるからです。

そう考えると、「コレステロール=悪者」と考えがちですが、コレステロールの正体は、「たんぱく質」「炭水化物」と並ぶ三大栄養素の一つ、「脂質」です。
三大栄養素の仲間ですから悪者ではなく、健康に生きていくために必要な栄養素なのです。人体を構成する細胞膜や、男性ホルモン・女性ホルモン、および胆汁酸などの原料となり、生命維持に欠かせない重要な成分です。コレステロールを一面だけで見て悪者と言い切ることはできません。

コレステロールは主に肝臓で作られる

コレステロールは、体に必要な量の約3分の2(60~70%)が肝臓をはじめとする体内で作られます。食事で摂取するコレステロールの量に応じて肝臓で作られる量が調整されているのです。
肝機能が低下するとコレステロールの調整機能が低下します。また、コレステロールを原料とするホルモンや胆汁酸が十分に作れなくなります。そのため、コレステロール値を正常に維持するには肝臓が健康であることが重要です。

コレステロールの2つの種類

コレステロールは「悪者」ではありませんが、善玉と悪玉の2種類があります。
コレステロールは脂質の一種ですから水に溶けない性質を持っています。水に溶けないと血液で全身の細胞に必要にコレステロールを運べません。
一方、タンパク質は水に溶けやすい性質を持っています。そこで、人体にはコレステロールを全身に運ぶためにリポタンパク質という水に溶けやすいタンパク質で包んで血液に溶かす仕組みが備わっています。

「HDL(善玉)コレステロール」「LDL(悪玉)コレステロール」というと、2種類のコレステロールがあるように思えます。しかし、その大きな違いはリポタンパク質とコレステロールの構成比だけです。つまり、コレステロールそのものはどちらも同じで、それを包むリポタンパク質が多いか少ないかの違いしかありません。

HDL(善玉)コレステロールとLDL(悪玉)コレステロールの働き

LDL(悪玉)コレステロールは、肝臓で作られたコレステロールを全身の細胞へ届けます。一方、HDL(善玉)コレステロールは、全身の細胞で余ったコレステロールを肝臓へ戻します。LDLコレステロールは悪玉扱いされながらも、重要なコレステロールを全身の細胞に運ぶ役割を持っています。

しかし、血液内で余ったLDLコレステロールは、血管内に蓄積されて動脈硬化を進行させる原因になります。だから悪玉と呼ばれるのです。一方、HDLコレステロールは、血液中の余分なコレステロールを肝臓へ回収する働きがあるので、善玉と呼ばれます。

コレステロールの何が怖いのか?

コレステロールの何が怖いのか?

体にとって正常なコレステロールの基準値と、コレステロールが異常な値になったときに引き起こされるおそれのある病気について解説します。

コレステロールの基準値

コレステロールの血液中の基準値は以下の通りです。

  • 空腹時LDLコレステロール:140mg/dl未満
  • 空腹時HDLコレステロール:40mg/dl以上

どちらか一方でも基準を満たさないと脂質異常症と判定されて医師から忠告を受けます。
脂質異常症については以前、LDLコレステロールとHDLコレステロールを合計した総コレステロール値が高いと健康に悪いとされていて、名称も「高脂血症」と呼ばれていました。近年になってHDLコレステロールは高くても問題はなく、むしろ高いほうが体に良いことが分かったため、総コレステロール値を基準にした病気の判断はされなくなりました。同時に病気の名称も高脂血症ではなく脂質異常症に変更されました。

「LH比」が重要

近年では、脂質異常症の診断にLDLコレステロールの値をHDLコレステロール値で割った「LH比」が重視されています。「LH比」が1.5以下なら理想的な状態で、2.0以下が基準値、2.5以上になると心筋梗塞などのリスクが増します。

LDLコレステロール値が130、HDLコレステロール値が45とするといずれも基準値を満たしており異常ではありません。しかし、「LH比」でみると2.9となり、危険なレベルと判断されます。コレステロール個別の値よりもLH比に注意しましょう。

コレステロールの異常で引き起こされる病気

コレステロール値が異常値を示している場合、その状態は生活習慣病の1つ、脂質異常症の疑いが濃厚です。脂質異常症は動脈硬化を引き起こします。動脈硬化が悪化すると、心臓や脳など命にかかわる臓器に血液が流れにくくなり、突然、大動脈瘤破裂、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、および脳出血などを発症するリスクが高まります。ほかにも腎硬化症、腎不全、脂肪肝になるおそれもあります。

あなたは大丈夫?コレステロール危険度チェック

脂質異常症も動脈硬化も自覚症状がなく進行する怖い病気です。健康診断で指摘されたら、安易に放置せず、治療に努めましょう。
ここでは、コレステロール値の異常となる原因を生みやすい食生活や生活習慣についてご紹介します。

コレステロール危険度チェック

  • 食事編
    □動物性脂肪の多い肉やベーコンなど肉加工品が多い
    □魚・野菜をあまり食べない
    □食物繊維の多いイモ類、根菜類、キノコ類、豆類、海藻類などをあまり食べない
    □コレステロールを多く含む食品(鶏卵、魚卵、レバーなど)をよく食べる
    □お酒をよく飲む
    □高カロリー食品(生クリームや洋菓子などの乳脂肪製品)が多い
    □食べ過ぎでカロリー過多である
    □食事時間が短い(早食い)
    □塩辛い味が好きで、よく食べる
  • 生活習慣編
    □歩くのが嫌いで車や電車での移動が多い(運動不足)
    □喫煙本数が多い
    □食事時間が不規則
    □間食が多い
    □休日は外出しないで家でゴロゴロしていることが多い
    □ストレスがたまって、イライラすることが多い
  • その他
    □肥満傾向である
    □家族に脂質異常症や動脈硬化を発症している人がいる
    □糖尿病や狭心症などの持病がある
    □痛風、高血圧である
    □閉経している(女性)

食生活から簡単に改善!コレステロール値を下げる食品

LDLコレステロールは、薬以外にも食べ物で下げることができます。もちろん、一度食べたからといって急に良くなるわけではなく、食生活を健康的な内容に改善することが大切です。

LDLコレステロール値を下げる主な食品

動物性脂肪の多い肉や魚卵などの食生活を改め、以下の食品を意識的に多めに摂取することでLDLコレステロール値の低下が期待できます。

  • DHA、EPAを多く含む青魚(サンマ、イワシ、アジ)やマグロ、ブリなど
  • 天然アミノ酸の一種のSMCS(S-メチルシステインスルホキシド)を多く含むアブラナ科の野菜(キャベツやブロッコリーなど)
  • 水溶性の食物繊維を多く含む食品(エシャロット、にんにく、ごぼう、納豆、モロヘイヤ、海藻類、さつまいもなど)
  • クエン酸が多く含まれる黒酢、リンゴ酢など
  • ポリフェノールを多く含む赤ワイン、カカオなど
  • ビタミンCを多く含む柑橘(かんきつ)類の果物

HDLコレステロールを上げる主な食品

HDLコレステロールを上げる一番効果的な方法はウォーキングやジョギングなどの有酸素運動です。日々の有酸素運動を習慣にしながら、食事面では次のような食品を摂取すると良いでしょう。

  • アディポネクチンを増やす、マグネシウムや繊維質が多く含まれているアオサ(海藻)
  • エリタデニンが多く含まれている新鮮なしいたけ
  • リコピンを多く含むトマト
  • マグネシウムの吸収を助ける納豆などの発酵食品全般

中高年から注意したいコレステロールの罠

1980年代に、女性たちが童謡の替え歌に乗せて「♪ コレステロールよ、グッドバイバイ~」と歌う調味料のテレビCMが流行しました。しかし、現在ではコレステロールは単純に悪者として「グッドバイ」するのではなく、欠かせない栄養素の一つとして適切に管理することが大切だという認識に変わっています。
有名な医師の中には「コレステロール値が高いほうが長生きできる」と主張する人もいます。しかし、LDLコレステロール値が異常に高いと動脈硬化を起こしやすくなるという点については間違いないようです。
LDLコレステロール値は不健康な生活だけでなく、加齢による代謝機能の低下によっても上昇します。自覚症状がないからといって安易に考えず、中高年になったら、有酸素運動と正しい食生活を習慣化させ、LH比を上げないよう努めましょう。