男性の更年期障害とは?やる気が出ないのは更年期障害が原因かも!?

「最近、やる気が出ない……」「疲れが取れにくくなった」と思いながらも、放置したまま過ごしていませんか?それは「更年期障害」かもしれません。更年期障害と聞くと女性特有の症状と思われがちですが、実は男性にも更年期障害があります。更年期障害は、ホルモンバランスが崩れることによる心や身体の不調です。女性に比べるとまだ認知度が低いため、医師に相談することなく気付かないうちに進行している場合もあります。しかも鬱との見分けがつきにくいという厄介な特徴もあります。
今回は、「ひょっとして鬱かも!?」と思っている中高年男性を対象に、男性の更年期障害の基礎知識と対処法をご紹介します。

男性の更年期障害の原因は?

男性の更年期障害は、正式には「LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)」と呼ばれています。LOH症候群は、男性ホルモンの減少に伴い40代から60代と幅広い年齢層で発症します。これまでは医者の間でさえ、男性の更年期障害に対する理解度は高くありませんでしたが、最近では広く認知されてきました。

そのきっかけの一つが、テレビ番組でもお馴染みだった漫画家の故はらたいらさんでした。「男の更年期」をテーマに、49歳頃から発症した自分の経験に基づく体調の変化について、著書で公表。やる気が出ないのは怠けているのではなく、更年期障害が原因だということを世間に伝え、認知度を高めました。

更年期障害の原因

男性の更年期障害は、「テストステロン」という男性ホルモンの減少が原因と言われています。テストステロンは、20代から30代をピークに、40代後半くらいから次第に減少します。分泌量には個人差があり減少の仕方も異なりますが、低下の原因は加齢のほかに、ストレスも関係しています。

発症するきっかけは、男性ホルモンの低下に加え、精神的なストレスや環境の変化などです。40代後半くらいの男性は、職場や家庭での立場や責任が重くのしかかり、心身ともにストレスが溜まります。なかでも、職場の人間関係や家庭内での問題が原因として大きいと言われます。

男性ホルモン「テストステロン」

一般的に男性ホルモンの減少というと、勃起不全(ED)や性欲減退など生殖機能への影響のみと考えられがちですが、テストステロンはやる気や意欲にも大いに関係しています。
活力や積極性の源泉となるさまざまな働きを司るので、減少すると肉体的にも精神的にも影響が出てきます。テストステロンの減少が進むと、高血圧やメタボリックシンドローム(内臓脂肪型肥満)など、生活習慣病に影響することもわかっています。

それは「鬱」じゃなくて、更年期障害かも

更年期障害が発症しやすい男性の性格として、真面目で几帳面、責任感や競争心が強い、神経質な方に多いと言われます。女性の更年期障害は、閉経時に急激にホルモンが低下することによって生じますが、男性ホルモンの減少は緩やかな変化のため自覚しにくく、これといった症状も表れないまま、気付かずに老年期を迎える方もいます。さまざまな身体の不調とも密接に関わっている更年期障害の主な症状をまとめました。

更年期障害の症状

症状としては、心・身体・性の3つに分けることができます。
心の症状には、「最近、笑わなくなった」「好きな趣味なのに気力がなくなった」「イライラしやすくなった」などがあります。
身体の症状には、「疲れやすい」「身体がだるい」「重く感じる」などの倦怠感や、動悸・息切れ、不眠、めまい、発汗などがよく見られます。
また、筋力や体力の衰えに加えて、性欲の減少やEDなど、性に関する症状が比較的顕著に表れます。

鬱と更年期障害

急にやる気が減退したり、集中力が低下することから、鬱病と間違われるケースも多く、鬱病と更年期障害を正しく見分けることは、医師でも難しいと言われます。自分では「鬱病かも……」と思っていても、実は男性ホルモンの減少による更年期障害なのかもしれません。特にイライラする、気分が落ち込む、眠れない、食欲がないといった症状は徐々に表面化するため、周囲に理解してもらえず、一人で悩んでしまうことも多いようです。

男性の更年期障害を食生活で改善しよう

更年期障害が疑われたら、まず病院で診断と治療を受けることが大切です。また、食生活や生活習慣を見直すことで、予防したり改善する方法もあります。ここでは、食生活について見てみましょう。

積極的に取りたい食材

更年期障害を予防する食材としては、シジミが知られています。シジミには、男性の生殖機能を保つミネラルの一種である「亜鉛」が多く含まれています。亜鉛が不足すると、精巣や前立腺の働きが悪化してしまうため、牡蠣や魚介類、海藻類、ナッツ類、レバーなど亜鉛を多く含む食材を積極的に食べるようにしましょう。
テストステロンの分泌を促す作用がある「含硫アミノ酸」や、ホルモン生成に関与する「ビタミンE」の摂取もおすすめです。含硫アミノ酸はタマネギなどのネギ類に、ビタミンEはサーモンやマグロ、ウナギ、カボチャ、アボカドなどに多く含まれています。

また、これらの食材は、野菜やフルーツなどの抗酸化作用がアップする「ビタミンC」と一緒に取ると吸収効率が良くなり、さらに効果的です。

肥満改善

食生活で最も気を付けたいのは、肥満を解消することです。男性は更年期障害になると、肥満になりやすいと言われます。肥満自体がテストステロンの働きを妨げるため、さらに症状を悪化させてしまいます。
肥満改善には、カロリーをコントロールして食べ過ぎないことはもちろん、腹八分目を心掛けて、ゆっくりとよく噛んで食べましょう。食事の時間は規則正しく、間食を控えることなども大切です。栄養のバランスに注意し、偏らないよう多彩な食材を同時に取るメタボ対策用の食事は、更年期障害にも効果がありますので参考にしてみてください。

更年期障害を乗り切って、みなぎる活力を取り戻そう!

生活習慣の乱れは、更年期障害を悪化させます。では、すぐに始められる身近な生活改善策にはどんな方法があるのでしょうか?更年期障害を乗り切って活力を取り戻す効果的な方法をお伝えします。

ウォーキングや水泳などの有酸素運動

生活習慣の改善策として有効なのは、睡眠不足の解消と適度な運動です。睡眠障害も更年期障害の症状の1つですが、長引くと疲労が蓄積し、精神的にも良くありません。快適な運動は眠りの質を上げ、睡眠時に男性ホルモンの分泌を促します。
また、ストレスが続くと呼吸が浅くなり、血液の循環が悪くなります。ウォーキングや水泳などの有酸素運動は、呼吸を深くして血液の流れを良くするため、定期的な運動を取り入れましょう。

筋トレ

筋肉を刺激することで、男性ホルモンを活性化させることができます。運動の中でもダンベルを使ったり、スクワットや腕立て伏せ、腹筋などの無酸素運動を行うと、筋肉の強化に有効に作用します。

漢方薬・サプリメント

漢方薬は自然治癒力を高め、身体を整える伝統的な療法です。症状にもよりますが、体質に合えば大きな効果を発揮するものもあります。

<八味地黄丸(はちみじおうがん)>

最もよく用いられている漢方薬で、疲れやすい、身体が冷える、生殖機能が弱っているなどの症状におすすめです。

<補中益気湯(ほちゅうえっきとう)>

虚弱体質で元気がなく、胃腸の働きが衰え、疲れやすい場合に最適です。

その他、六味丸(ろくみがん)、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)、桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)、釣藤散(ちょうとうさん)、清心蓮子飲(せいしんれんしいん)などもよく用いられます。

また、サプリメントの服用も予防や改善に効果があるとされます。精神的な症状には、ハーブの一種であるセントジョーンズワートやトリプトファン、生殖機能の症状には亜鉛やアルギニン、マカなどが挙げられます。

適切な治療で更年期障害を乗り切ろう!

日常生活に支障をきたすような場合は、男性向けの更年期外来で医師の診断を受けることも重要です。一般的には、テストステロンを注射で補うホルモン補充療法となりますが、これには個人差があり、改善が見られるケースも多い半面、前立腺癌や前立腺肥大症などのリスクを伴いますので、事前に担当医師と十分に話し合いましょう。
男性の更年期障害は、放置していると合併症を誘発したり、重症化するおそれもあります。今回ご紹介した内容を参考に、適切な方法で更年期障害を乗り切り、みなぎる活力を取り戻しましょう。