それって心筋梗塞の前兆かも?発作が起こる前に予防しよう!

「悪性新生物」(がん)、「肺炎」とともに日本人の3大死因になっている「心疾患」。
近年では30代で若年性心疾患を発症する人もいて、その背景には生活習慣の乱れが指摘されています。
今回は、心疾患のうちの一つ「心筋梗塞」について、その前兆や症状、予防法をご紹介します。心当たりがある方は、ぜひ生活習慣を改めるきっかけにしてください。

それって心筋梗塞の前兆かも?発作が起こる前に予防しよう!

心筋梗塞は、いつ起こる?

心筋梗塞は、動脈硬化が進行して冠動脈に血栓(血液の塊)が詰まり、心筋が壊死して激しい痛みを引き起こすとても怖い病気です。心筋梗塞の発作には起こりやすい時期や時間帯があります。

心筋梗塞が起こりやすい時期とは?

冬は夏よりも心筋梗塞を起こす確率が1.5倍高いといわれます。寒さで血管が収縮しやすくなるからです。血管が収縮すると血流が悪くなり、血圧が上がります。加えて、血管壁に溜まったコレステロールの塊がはがれて血栓になり、狭くなった血管内腔に詰まりやすくなります。

心筋梗塞が起こりやすい時間帯とは?

心筋梗塞が起こりやすい時間帯といわれているのは、起床後の身体が徐々に目覚める8時~10時頃と、疲労が蓄積されている20時~22時頃です。飲酒後も起こりやすくなります。
仕事をしている男性の場合は、喫煙やストレス過多が原因となりやすいので、残業中の夜遅い時間や、月曜の朝も要注意です。
早朝や飲酒後は、脱水症状が心筋梗塞の引き金になりやすいタイミングです。起床時や就寝時、飲酒後には必ずコップ1杯以上の水を飲むようにしましょう。

見逃さないで!心筋梗塞の前兆とは?

心筋梗塞の前兆は狭心症の発作です。狭心症の状態からすぐに心筋梗塞を起こすわけではありませんが、以下に挙げる狭心症の症状がある人は早急に生活習慣を見直す必要があります。

心筋梗塞の前触れ症状

狭心症の発作からくる胸の痛みや不快感により、無意識に胸を触るようになります。
心臓からの放散痛により、実際痛むのは心臓なのに、神経の信号が左首や左肩に走り、首が回らない、左肩や背中、左腕から小指にかけてが痛いという症状が起きます。
また、心臓と食道が近いことから、ゲップやしゃっくり、食べ物が逆流するような吐き気やむかつきを感じることもあります。
ほかにも、のどをゼーゼー鳴らすような呼吸、声の出しにくさ、冷や汗、不整脈、歯の痛みや奥歯の下の痛み、疲れやすさ、だるさ、頻尿、むくみ、EDの症状が表れることがあります。

心筋梗塞の症状の特徴

胸の広範囲(みぞおちや腹部のあたり)で圧迫感や焼けるような激しい痛みが30分以上続きます。痛みから呼吸が苦しくなり、冷や汗や脂汗が出たり吐き気や胃痛などの症状が表れます。
心筋は発作から15分後に壊死を起こし始め、2時間後には完全に死んでしまいます。壊死が進むと心臓が正常に機能しなくなりショック状態に陥ります。顔色は紫色(チアノーゼ)になり、血圧の低下や呼吸困難、冷や汗、嘔吐、意識障害などを起こします。
なお、高齢者や糖尿病を併発している人の中には痛みを感じない人もいます。このような無痛症状の人でも、全身のだるさ、冷や汗、胸や腹にむかつきや違和感、めまい、吐き気、顔面蒼白といった症状が表れることが一般的です。

気をつけて!心筋梗塞を引き起こす原因

気をつけて!心筋梗塞を引き起こす原因

心筋梗塞を引き起こす原因を解説します。

動脈硬化

心筋梗塞の一番の原因は動脈硬化です。動脈硬化は、心臓から身体中に血液を送る働きを持つ動脈が硬くなり、血管がもろくなる病気です。

動脈硬化には、「細動脈硬化」「粥状動脈硬化」(アテローム硬化)の2種類があります。一般に知られている動脈硬化は粥状動脈硬化のことを指し、狭心症や心筋梗塞を招きます。

粥状動脈硬化は血中コレステロールとの関係性が指摘されています。「リポタンパク質」というタンパク質が肝臓でつくられますが、そのうちのLDL(低比重リポタンパク質)がコレステロールを末梢へ運び細胞に配ります。もう一方のHDL(高比重リポタンパク質)は余ったコレステロールを末梢から回収して肝臓へ戻します。このLDLとHDLのバランスが崩れ、LDLが過剰になると動脈硬化が起こります。LDLは「悪玉コレステロール」、HDLは「善玉コレステロール」と呼ばれます。

動脈硬化になると、心臓へ栄養を送る冠動脈の流れが悪くなり狭心症や心筋梗塞が起こりやすくなります。また、脳の動脈が詰まって脳梗塞を引き起こすこともあります。

動脈硬化の症状はむくみや頭痛、動悸、息切れといった日常的に見られる症状のため、自分でも気がつかないうちにどんどん進行してしまいます。

動脈硬化発症の要因

今度は、心筋梗塞の原因である動脈硬化発症の要因を見ていきましょう。

  • 喫煙
    ニコチンが体内に入ると悪玉コレステロールが増え、動脈硬化が起きやすくなります。
  • 食生活の乱れと運動不足による肥満
    車や電車、エレベーターやエスカレーター、デスクワーク中心の仕事など、身体を動かす機会の減った現代人は運動不足に陥りがちです。また、食の欧米化に伴い脂質と糖質の取り過ぎによって中性脂肪が増えているので、そこに運動不足が加われば自然と肥満になります。
  • ストレス
    心臓病を起こしやすい人は、仕事中心の生活を送り、活動的だがせっかちで短気、競争心や責任感が強く真面目で完璧主義であるという傾向があります。このような性格の人はストレス過多の状態が続いて高血圧になり、血液中には糖質や脂質が豊富なため、脂質異常症や糖尿病を発症しやすくなります。
  • 高血圧
    高血圧とは、最高血圧が140mmHg以上、最低血圧が90mmHg以上、両者またはどちらかが高い状態のことです。
  • 脂質異常症(高脂血症)
    脂質異常症は、脂質代謝異常症ともいわれています。「LDLコレステロールが基準値より高い」「HDLコレステロールが基準値より低い」「中性脂肪が基準値より高い」――このうちの1つでも当てはまると、脂質異常症と診断されます。
  • 糖尿病
    糖尿病とは血中のブドウ糖の濃度が異常に高くなる病気です。一度発病すると完治することはなく、進行が進むと失明や手足の壊死、腎不全を起こす病気です。
  • 高尿酸血症(痛風)
    肉や卵、レバーに含まれるプリン体という物質が分解され尿酸を生じます。この尿酸の排泄がうまくいかずに体内に蓄積されると、足の親指のつけ根などを中心に激烈な痛み(痛風発作)を起こします。
  • 遺伝的素因
    遺伝的素因は残念ながら対処できないので、生活習慣の改善に努めつつ、定期的な健康診断を欠かさないようにすることが大切です。

心筋梗塞は時間が勝負!発作時の対処と予防法

ここからは予防法と、家族や同僚が心筋梗塞を起こしたときの対処法をお伝えします。

発作が起こる前に日頃から予防しよう

  • 禁煙
    喫煙は心筋梗塞になるリスクを2~3倍上げ、禁煙すると約2年でそのリスクが減るといわれています。喫煙は高血圧や動脈硬化だけでなく、肺に入ると肺を汚染して肺がんや肺気腫、喘息といった重篤な病気を引き起こすおそれがあるため、現在たばこを吸われている方は早いうちに禁煙することをおすすめします。
  • 6つの食事予防法
    食事は外食や加工食品、インスタント食品を避けて1日3食自炊がベストです。
    メニューは主食(ごはん、パン、麺などの炭水化物)、主菜(肉、魚、豆類などのタンパク質)、副菜(野菜、きのこ、海藻などのミネラル・ビタミン・食物繊維)、その他(乳製品、果物などのミネラル・ビタミン・食物繊維)の4つに分けて考え、1日30品目をバランス良く食べることが大切です。

メニューを作成するときは下記の6項目を参考にしてください。

  1. タンパク質は1日あたり男性は60g、女性は50gを目安に取ります。大豆などの植物性タンパク質を取るようにし、肉類は蒸したり網で焼くなど脂を落としてから食べましょう。
  2. 野菜・豆・海藻は1日350g以上を目安に取り、そのうち食物繊維は20g以上取るようにしましょう。市販の野菜ジュースには塩分や糖分が含まれているものもあるので注意が必要です。
  3. 塩分は1日5g~8g程度に抑え、血圧の高い人はみそ汁をあまり取らないようにしましょう。2~3日おきに食事に取り入れるくらいで十分です。
    減塩は味が薄くて嫌だという人は、ごま、くるみ、柑橘類やシソなどで香りづけをするとおいしく食べられます。
    魚介類は1日100g程度取ることを推奨します。高尿酸血症(痛風)の人はウナギやマグロ、あんきもなど、プリン体含有量の多い食材を控えてください。
  4. 砂糖の摂取量は1日25g~30g程度を目安にしましょう。果物にも果糖が含まれますので、食べ過ぎないよう注意してください。なお、果物は1日200g程度取ることをおすすめします。
  5. 水分は1.5リットルの水を8回以上に分けて飲むようにしてください。普段あまり水分を取らない人は意識して飲むようにしましょう。
  6. お酒は適量以上飲まないことを心がけ、必ず週に1~2日は休肝日を設けましょう。1日の適量は、ビールなら中瓶1本程度、日本酒なら1合程度、ウイスキーならダブル1杯程度です。

運動は有酸素運動を

心臓病の予防には有酸素運動が効果的です。有酸素運動は心臓や肺を丈夫にして全身の血行を良くします。
運動不足の人はウォーキングから始めると良いでしょう。背筋を伸ばして歩幅をいつもより広くし、息が上がるくらい速めに歩きます。30分も歩けば汗が出てくるので、水分補給を忘れないでください。

生活習慣

  • ストレスを解消する
    強い精神的ストレスは、血圧や血糖値を上げるため心臓に負担をかけます。趣味を楽しんだり身体を動かしたりしてストレスを解消しましょう。
  • 健康診断を必ず受ける
    年に1度は必ず健康診断で心電図検査を受けて心臓の状態を把握しましょう。自分では身体の不調に気づかないことが多いので、専門の医師に定期的にチェックしてもらうことが病気の予防につながります。
  • 規則正しい生活
    休みの日には夕方まで寝てしまうという方もいるのではないでしょうか?休日も出勤日と同じ時間に起き、毎日の生活リズムを崩さないように努めましょう。
  • 睡眠
    十分な睡眠がとれていないと、血圧が上がり心臓に負担がかかります。
    昼間に運動をしたり、寝る前にアロマを焚いてリラックスするなど、睡眠の質を高める工夫をしましょう。
  • 身体の不調は早めの病院受診を
    はっきりした自覚症状がなくても、「何かおかしいな」と感じたらすぐに病院に行き受診してください。

近くで心筋梗塞の発作が起こったら、どうすればいい?

心筋梗塞は時間とともに心筋の壊死が進み、発作から1分経過するごとに救命率が7%~10%低下するといわれています。
激しい胸痛に襲われた人を目にしたら、医師から処方されている薬(ニトログリセリンなど)があるかどうかを尋ね、持っている場合は服用させてください。それでも痛みが続く場合は119番通報をする必要があります。救急車到着までには6分程度かかります。その間に失神してしまうことがありますので、その場合は下記の手順で心肺蘇生を行いましょう。

  • 心肺蘇生法
    まず、発作で倒れている人に声をかけます。軽く肩を叩いて脈拍を確認します。このとき、身体を激しく揺らしたりしてはいけません。
    起き上がれそうな場合も起こさず、なるべく動かさないで寝かせたままにします。なぜなら倒れた衝撃で脳が損傷していることもあり、その場合、立ち上がると脳の血流が減ってしまうからです。
  • 心肺蘇生の手順
    1. 救急車を呼び、患者の状態を冷静に伝えます。オペレーターに救急車が来るまでの処置を聞きましょう。
    2. 頭の下に枕は入れず仰向けに患者を寝かせ、ネクタイやベルトを身につけている場合はすべてゆるめます。時計やアクセサリー、眼鏡、入れ歯なども外します。
    3. 呼吸が苦しそうなときはアゴを上げて気道を広げる必要があるため、背中に畳んだタオルや上着などを敷いてあげましょう。吐きそうな素ぶりを見せたり、実際に吐いてしまったら、嘔吐物で窒息しないよう横向きに寝かせます。
    4. 人工呼吸をする際は、直接口と口を接触させるのではなく、患者の口の上にハンカチなどを置くことで救護者が感染症にかかるのを防ぎます。呼吸は2回送ります。
    5. 人工呼吸と同時に心臓マッサージも行います。1分間に約100回を目安に、体重をかけながら垂直に圧迫しましょう。
    6. 30回の心臓マッサージと2回の人工呼吸を1セットとし、「5」と「6」を繰り返します。

※AEDがある場合は、手順「4」の後からはAEDの指示に従って対処してください。

心筋梗塞の予防は生活習慣の見直しから

心筋梗塞などの生活習慣病は、若い頃からの良くない生活習慣の積み重ねが原因で発症します。今日からいきなりすべてを見直すことはできませんが、「塩分を控えよう」「歩くようにしよう」という気持ちから少しずつ生活習慣を改善していきましょう。